エンデューロレースへの参戦
コス&俺によるEnduro(耐久レース)参戦。二人にとってオフロードバイクの歴史は浅く、当然レース参戦は初めてである。しかし、長年オンロードバイクには乗っており、同じバイクだからなんとかなるっしょと考えていたのだが、それは実に甘い、いや猛烈に甘かったことに後で気づかされた。
一応レース参戦に向けて特訓を行った。にかぼへの林道合宿(ただのツーリング)と、ウエストポイントでのオフロード体験講習である。(これだけかよ!)
さて、出場する耐久レースは4H耐久のBクラス(250CC以下)。そして、4時間いっしょに駆けるバイクはSERROW225W(YAMAHA)だ。セル装備と足付き性の良さが初心者にやさしい、コスの愛車である。レースに向け、タイヤ交換(ダンロップD905装着)オイル交換などを行い、準備は万端である。
いざレース場へ
レース前日(金)
会社から帰ってきて、19:00バイクをワゴンに積み込む。レース会場は佐野坂、ここは神奈川。一路白馬方面を目指し出発。
25:30目的地サンアルピナ佐野坂に到着。まだ9月なのに寒い寒い。ゲート前に並びピットのいい位置を取ったほうがいいとの情報により、ゲート前に車を並べ、車中泊。ワゴンの座席は寝心地いいものじゃないことを知る。
レース当日(土):快晴(ていうかちょっと晴れ過ぎ)
7:00ゲートオープン。ピットロード近くの位置に合流した別動チームといっしょに陣をはる。バイクをおろし各部確認し、車検に備える。その間にも続々とピットエリアに車はやってきて、かなりの出場者がいる様子だ。
時間があるので、コースを少し散策してみる。コース上はほとんどガレ場だ。林道のガレ場でひどい目にあったコスはその大きな石の数々を見ると、嫌な記憶がよみがえる。しかも林道なんかよりも傾斜は急で、石は尖っている。転べば当然痛そうだ。
コースを見るにつれ、にわかにテンションは高まっていく。車検を無事終え、ライダーミーティングをしたら、レース開始だ。すでに気持ちはハイテンション!!おいおい大丈夫か?
レース開始
レース開始(11:00)
スターターは俺だ。ローリングスタートによりレースが開始された。俺は200台以上のバイクに囲まれ超緊張!しかし前のバイクにしっかりついていっている。

ローリングスタートだから一周したところからスタートなのだが、コースは予想以上に難しく、最初の一周がめちゃくちゃな状態になっている。
難所の一つハーフパイプでスタック続出のようで早くも大渋滞である。俺もハーフパイプに到着し、駆け抜けるつもりだったが、当然転ぶ。坂でのバイクの引き起こしはかなり体力を使うので、すでにへとへとになっている。しかしスタートはまだきられてないのだ。がんばれ!

コスにチェンジ(45分経過)
何とかピットまで到着した。コースは異常に大変だ。まずは偵察なので、気軽に走る。
まずは難関の一つハーフパイプ。助走をつけて一気にと思ったが、やはりハンドルを取られて転倒。しかしすぐに起こして再始動。セル付きは転倒後の復帰がとても楽だ。
ハーフパイプを超えると杉並木の道。路面も土で走りやすくちょっと一息つけるセクションだ。しかしすぐまたガレ場が始まる。ヒルクライムにダウンヒル、アップダウンの連発だ。しかもすべて苦手のガレ場。
しかし林道合宿?で監督のハマーに教えてもらったエンブレ活用で、何とかクリアできた。とても一周が長い。一周8kmのはずだが、もっとあるんじゃないの?いやそれよりも高低差はどれくらいあるんだろう?何とか一周しもう少し行けそうなので2周目に突入。何とかうまく走れたみたいだ。コースのコツは掴んだと思いつつピットへ入る。
俺にチェンジ(90分経過)
2周45分でコスが帰ってきた。満足げな顔で「いけるで!」。確かにコスはいけている。しかし俺は自信がない。とりあえずコスに親指を突き出し「ヨクデキマシタ」と労をねぎらい交代する。
俺は1周目でビビりが入ったので、怯えつつのスタートだ。転んだとき痛いのと(当然)、バイクの引き起こしが大変なので転ばないことを第一に走る。
無事転倒なしで一周走る。まだ先は長いので体力温存にと、そのままピットに向かう。20数分で一周した。やはり転倒なしだとそこそこ速い。コスの休憩時間がちょっと短めだった。

アクシデント
コスにチェンジ(115分経過)
相方が帰ってくる。もう交代かと思いつつも、早く乗りたい気持ちもありさっそうとスタートする。しかし調子に乗って飛ばしたら、オーバースピードで下りコーナーに突っ込んでしまった。
当然コスはどうすることもできず、お約束のごとくバイクから射出され宇宙遊泳を楽しんだ?。それはあたかもホワイトベース(セロー)から発進するガンダム(コス)のようであった。
しかしここは地球、重力に惹かれるコスは、左肩と頭を地面にたたきつけ胸もしたたかに打った。あまりのハデさにギャラリーが手を差し伸べてくれて助かったが、しばらく息ができなかった。
何とか回復しマシンに近寄り状態を確認すると、フロントフェンダーはガリガリに擦れ、フロントゼッケンと右サイドゼッケンが割れている。ギャラリーに「ピットに戻ったほうがいいよ」といわれたが、ここはピットを出てすぐのところだ。ピットに行くにはほとんど一周残っている。慎重に走ってピットに帰る。

リカバリー(140分経過)
コスが帰ってきた。見るも無残な姿だ。なんとフロントゼッケンが割れている。どうやったらそんなところが壊れるんだ。

右サイドのゼッケンも壊れていて取れそうだ。どうやらかなりハードなクラッシュをしたようだ。バイクもライダーもかなり痛んでいる。コスは俺持参のマキロンとエアーサロンパスで治療を行う。

俺はバイクの修理に取り掛かった。幸い走行機構にダメージはなかったので、ゼッケンを修理する。白と黒のビニールテープでゼッケンを作り直し、装着する。

再出発
俺再出発(150分経過)
何とか修理を終えて俺がスタートする。慎重にと思いきや、大きな石に激突。突き上げを食らって体が投げ出される。本日2度目のガンダム発進である。
しかし着地できれいに受け身をとった俺は特にダメージは負わなかった。しかしバイクが急斜面にずり落ちている。コースに復帰するために猛烈に体力を消耗する。
よたよたのまま走っているとほかのバイクが俺を抜く際に引っかけてしまい、絡まったまま転倒。足を引かれた。しかしブーツのおかげで、特に身体的損傷はない。(ブーツとパンツは破けた)
あぁまた転倒だ、下り坂の途中だったので、また起こすのが大変!俺は半泣きのままピットに帰る。

コス出発(170分経過)
俺が走っている間にコスはからだの異常を確認しながら体調を調える。何とか大丈夫そうだ。まもなくバイクがピットに戻ってきた。あまり無理をするなと助言を受け出走する。
さっきのような失敗を繰り返さないように慎重にバイクを走らせる。一周NOトラブルで走りきったので、せっかくだからと2周目に突入した。この周も2度ほどのスタックのみで乗り切った。どうやら精神的にも落ち着きを取り戻したようだ。

ラストラン
俺ラストラン(210分経過)
大クラッシュの後とは思えぬ走りで、コスが2周走ってきた。残り時間は30分だ。チェッカーはコスに受けさせたかったので、もう一度交代しないといけない。
問題なく走れば20分弱で戻ってこれるが、スタックするとどうなるかわからない。体力も残り少ないのでより慎重に走る。さすがにこの時間になると、最初はたくさん走っていたバイクも結構台数が減っている。
所々に故障したのか疲れたのか、バイクから降りて休んでいる人や、コース脇のがけに落ちてそこから這い上がろうと悪戦苦闘している人もいた。そしてコース上にはたくさんのバイクが走り抜けたためにいくつかラインができており、そこは石が跳ね除けられていて、走りやすくなっている。俺はレースの終わりを感じつつ、最後の周回を走り抜けた。
コスラストラン(235分経過)
残り5分を残しバイクが戻ってきた。さあおれたちのレースのラストランだ。と思ったら、グローブが片方ない。時間もない。慌てて探して何とか見つかった。
よし出発だ。少し動揺してしまったが、何とかマシンを安定させる。ところどころスタックしているマシンを尻目にセローはよく走ってくれる。意外とポテンシャルが高い。セルもあり足つきもいい。こんなサバイバルレースにはもってこいである。
さてゴールまでもう少しだというところで苦手のS字ガレクライムにさしかかり、案の定?スタックしてしまう。もう体力も限界に近いのでとてもつらい。苦労しながら何とかクリア。ガレ下りをクリアするともう本部が見えてきた。そしてトップガンの音楽の中チェッカーを受けた。

結果
<10周完走>(パチパチ)
みんなありがとう
いろんなアクシデントに出会いながらもコス&俺の初レースは10周完走という満足いく結果で幕を閉じた。
体力的な問題、運転技術の問題、そしてマシンの問題など懸念すべき事項は多々あったのだが、二人のがんばりとさらに一緒にレースを走りサポートしてくれた仲間の協力により、このようなよい成果を残すことができたのではないかと思う。
ぼくらと一緒に走り、かつ励まし、そしてサポートしてくれたみなさん、本当にありがとう。

今回、なんといっても一番がんばったのは、このバイク(SERROW225Wマギー号)であろう。
レース出場前は、ほとんど舗装路と、数回の山道(林道)を走ったのみで、外装はまだまだきれいな状態であったのだが、レース出場により、多数の転倒(しかもガレ場)およびコスの大クラッシュをうけ、かなりの状態になってしまった。
それでも、僕らのためにエンジンは回り続け、チェッカーまで導いてくれた。持ち主コスに似てなかなかタフで頑張りのきくやつだった。幾度の転倒にも、持ち前の足つきの良さと、セルによる始動性のよさで、何度も初心者の僕らを助けてくれた。
これからのレースでもまた僕らを助け、頑張ってくれるよう願うばかりだ。ありがとう。今はゆっくり休んでくれ。
