プラットフォーム
3Dプリンタにおける第一層の印刷は、ものすごく重要。これが駄目だとその上に積み上がるものが全滅となってしまい、 すべてが台無しとなる。きれいな第一層を出力するには、ノズルから出てきたフィラメントがベッド上にしっかりくっついて、 乗っかることが大事。このベッドとノズルの間にあるのがプラットフォームで、ここにいろんなノウハウが有る。
事前にブログの評判を聞いて、3Mのプラットフォームシートからスタートしたのだが、やはりこれは素晴らしかった。 しかし高価。10回位印刷すると、効果は薄れていくため、交換が必要。1枚500円くらいしてしまうため、 安易な交換は気が引ける。では、この3Mプラットフォームが最上級として、それに近い安価な方式を模索したい。

3Mプラットフォームシート[★★★★★]
上記の通り、吸着具合は最高。そして剥がすときは綺麗にはがせる。 くっつきやすく剥がれやすいというのは、かなり難しそうなのだが、あまりに簡単に実現されている。さすがポストイットを作った会社。しかし一番小さい210×180サイズの3枚入りで、amazonで\1,800(@600円)くらい。 ビックカメラも取扱があり、こちらだと\2,180(@700円)くらい。10枚入りもあるが、こうなると1万円近くなり、 結構躊躇する値段。
サイズは2種類しかないようで、小さい方は210×180となる。X-ONE2のベッドは150×150なので、シートがはみ出るため、 カットして使用することになる。高いと思うとカットした余りも、何か活用できないかと貧乏性が出てくるのだが、 使い方難しい。

印刷結果は、プラットフォーム面はしっかりくっつき、ピカピカつるつるの仕上がりになる。 仕上げの印刷に使いたいと思うが、ベッド上をしょっちゅう取り替えるのは難しいので、そうもいかない。 まあ、この仕上がりを見ると絶賛するのはよく分かる。
また、マスキングテープやのりでも色々難しい冬の時期でも、プラットフォームシートだとしっかりとくっつき、 そして簡単に剥がれてくれる。さすがのクオリティ。やはりこの値段でも印刷失敗が無いことを考えると、 安いのかも。
カットした端材の活用
サイズが合わずにシートをカットしたのだが、その端材はもう少し活用させることが出来た。 シートは210mmx180mmなのだが、X-ONE2のベッドは150mmx150mmなので、それぞれの辺を60mmと30mmカットする。 これで出来上がる切れ端を太い短冊をA、細い短冊をB、角の切れ端をCとする。

そして、Aの短冊を2枚とBの短冊1枚を使用すると、もう一つ150mmx150mmのプラットフォームシートの出来上がり。

シートをベッド上に複数貼ると、継ぎ目箇所が出来てしまうが、それは今もマスキングテープを貼っていると、 継ぎ目は出来るので一緒である。そしてその継ぎ目は造形物にはそんなに目立たない。 なので、この余っているシートをうまく組み合わせて貼り付けておけば、切り取ったまっさらシート以外に、 つぎはぎシートとして端材部分を有効活用できる。唯一Cの端材のみ破棄することとなる。

ちなみに、真ん中となるAのシートだが、印刷はよく真ん中を使用するので、ここだけは少し頻繁な張替えを実施し、 端側のAとCのシートは、長期使用が可能。3枚組なので、3枚+1.5枚が使えることとなる。端材を捨てずに残しておいてよかった。
Scotch ブルーテープ[★★★☆☆]
どうやら、マスキングテープらしいのだが、このブルーテープも評判の品。 ただし評判となったのはアメリカらしく、このテープは日本では売ってなかったらしい。 しかし日本でも発売されるようになり、購入可能となっている。しかしマスキングテープとしては高い。 しかも店によってはボッタクリ金額のところもあり、ちょっと難しい商品。
3Dプリンタ購入時に、amazonで買えたので一緒に購入。\1,350。3Mのプラットフォームシートが終わったら、 これを使ってみるが、評判がいいだけあって良い食いつきを見せる。テープ表面はゴワゴワした紙のようで、 このゴツゴツ具合が食いつきの秘密だろうか?幅が48mmなので3列貼り付けると150mmに対して6mm余る。微妙な余り。

やっぱ評判になる商品はすごいな。これ、もっと気軽に買えるといいのに。 当然近くのホームセンターには置いていない。
色んなシーンで使ってみたが、冬で寒くてフィラメントの反りが出やすいときには、 ブルーテープの糊側の接着力の弱さが出て、ベッドからフィラメントと一緒に剥がれる現象が発生。 寒さで反りが出た際に、造形物が反り上がるがそのときにブルーテープを引っ張るのだが、ブルーテープのベッドへの接着が弱いために、ベッドとの接着面が剥がれて造形物が反ってしまう。 もう少し接着が強ければ造形物の反りをしっかりと防いでくれたかもしれないのに。
ブルーテープは冬には弱いようだ。
3M マスキングテープ 243J[★★★☆☆]
日本で簡単に買える3Mのマスキングテープ。243Jの黄色いもの。 50mmサイズの2巻入り243Jを購入して使ってみる。和紙製らしくとても薄い。マスキングテープらしく粘着性は抑えめなので、 ベッドに貼るとき、しわになったら剥がして貼り直し可能。
3Dプリンタ向けとしては、なかなか良い感じ。何と言っても安い。50mmの2巻で400円弱と手頃だし、 1巻でも随分と使える。破けなければ5回位の印刷には耐えてくれるし、印刷時に真ん中ばかり使わず、 色々振り分けて印刷すれば、一度の張替えで10回以上の印刷が利用可能。

最終的にはこれをメインで運用。なんといっても安く、よく行くホームセンターにあり、入手性が良いのが大きい。しっかりくっつき剥がしやすいので、本来のテープとしても便利に使用できて重宝する。
スティックのり(中国製)[★★☆☆☆]
3Dプリンタ本体に付属のスティックのり。中国語で書かれた表面や、緑色の内部が怖くて放置していたのだが、 プラットフォームシートでのベッドへの貼り付きが悪くなった時、試しに上に塗ってから印刷してみると、 一気に食いつきが良くなった。
のりを塗ると、フィラメントの第一層目の食いつき具合は段違い。周りの気温状況やベッドの状態により、 フィラメントの食いつきが悪いときに、塗ってから印刷を始めれば、しっかりした食いつきを見せる。 一層目に直線が少なく、点々で離れている場合などはしっかりフィラメントが食いつかない場合が多いので、 そんなときはスティックのりを塗っておけば、けっこういける。

しかし、これにはワナがある。フィラメントの食いつきは良いのだが、印刷完了時のベッド離れが最悪。 かなり強烈にベッドに食いついており、ニトムズカッターでもなかなか刃が入らない。 平面ペッタリな印刷で、スティックのりを使うとかなり厳しい状況に。また、底面が弱い構造の造形物の場合には、 剥がすときに壊してしまうことも。スティックのり使用はなかなか両刃の剣である。
ちなみに、緑色ののりは、塗った箇所が見えて便利。普通ののりとして使うにはこの色が邪魔な気がするが、 3Dプリンタには案外便利。のりなので造形物にくっついた際も水に浸しておくと溶けて簡単に取れる。
しかしベッド上に残ったのりは結構厄介。乾燥してペリペリにくっついており、盤上が凸凹になってくる。 プラットフォームシートの延命に使ったが、マステの上に塗るのが後始末含めよさそうだ。

第一層目に細かい動きの部分があると、ベッド側にしっかり食いつかずに、上手くいかない造形物がたまにある。 そんな場合の最終手段としては、この中華スティックのりは活躍してくれる。 細かい造形でどうにも第一層がうまく出来ずにキャンセルしているときに、中華スティックのりで再実行すれば、 きちんと第一層が出力されてくれる。
後で剥がすのは少し大変になるが、時間をかければちゃんと取れるし、 水に浸せば糊は溶けてくれるので、なんとかなる。いろいろ便利に使っていたら、なくなってしまった。 最初は怖かった中華スティックのりだったが、色々と助けてもらった。ありがとう。
3M マスキングテープ 343(緑)[★★★☆☆]
マスキングテープ243J(黄)と似たような343(緑)があり、こちらも評判がよいもの。 243Jとは耐熱温度が高いのが違いのようで、ABSなどヒートベッドで高い温度を使うときにはこちらが良い様子。

これもホームセンターに行けば売っているので、入手は容易。使い心地としては243Jと大差ない。 まあまあいい感じの食いつき方は見せてくれるので、なかなか便利。
安定の使用感。食いつき悪いときはスティックのりも併用すれば、大体のものはきちんと出力できる。 値段も安く、1本買えば当面使用できるため、コストパフォーマンスは抜群。食いつきよくするためにも、 本体のベッド保護のためにもかなり役立つ。
スティックのり(しわなしpit)[★★★★☆]
日本のスティックのりだと100均にある、しわなしpitがいいらしい。108円なので購入して試してみる。

使用してみると、普通のノリだけに透明なので、塗った箇所がわかりづらく、 普通ならありえないはずの緑色の中華スティックのりに慣れてしまったため、逆に残念に思ってしまった。 フィラメントの食いつき具合としては、問題なし。中華の緑スティックのりと同等といったところだろうか。

しかし、何度か使っているうちにものすごい効果があることを発見。中華の緑なスティックのりに比べて、 剥がし易さが格段に良い。中華スティックは食いつきはいいのだが、完成後もがっつりのと食いついており、大きめのものの場合には、ベッドを壊さないように気をつけながら、慎重に力を入れる必要があり、剥がすのに一苦労。 しかし、しわなしpitはなんだかスッキリ剥がれてくれる。そして一度塗ったら数回は効果が持続。 乾いていた状態でも、結構いい食いつき状態を維持してくれている。
マスキングテープ+しわなしpitは、なかなかいい組み合わせのように思える。必要なコストも最小限で済むし、 かなりベストチョイスではないだろうか。これで色付きがあれば、完璧なのに。 近くの100均では香りつきはあったが、色付きはなかった。
いろいろなスティックのりを試してみたけど、総合的に便利なのは、シワなしpitだ。 強力な食いつきは無いが、剥がれやすさは抜群で、安心して使用できる。食いつき悪いときも追加塗りすれば、 結構頑張ってくれる。100均ではあったりなかったりと、在庫が不安定なので、見つけたら購入しておき、 在庫ストックしている。→文房具屋でも100円で売ってた。しかも大きいサイズもあったので、それ買ったほうがいいのかも。
スティックのり(Tombow・scotch)[★☆☆☆☆]
スティックのりが、かなり効果があることがわかり、シワなしpitなら食いつきよく、離れも良い事が判明。 中華のりは色付きで便利だったので、日本製のスティックのりでも色付きがないかを探してみる。 すると、文房具屋で以下を見つけた。
消えいろピット@トンボ

糊が青色のようなのだが、なんと乾くと、透明になるらしい。さすがメイドインジャパン。中華製とは一つ上の機能だ。 そしてお値段一本百円。すばらしい。いや、普通に紙を貼り付ける用途ではなく、3Dプリンタの1層目の定着が目的なのだ。
また、3Mからも似たようなものを発見。 こちらの色は紫らしい。やはり同様に乾くと透明になるらしい。色付きがこんなにあるということはやはり需要も多いのだろう。
カラースティックのり@3M

では、これらを少し比較してみよう。まずは色の確認。白い紙にのりを塗ってみる。 シワなしpit以外は、全部のりに色がついており、どこに塗ったのかがわかるようになっている。色付きはとても便利。

そして、青の消えいろピットと紫のカラースティックのりについては、のりが乾くと透明になった。 写真での青の消えいろピットについてはちょっとのりの塊を塗ってしまったので、一部乾ききっておらず、 青い箇所が見えるが、きちんと乾くと、ちゃんと透明だ。すごい。

使用してみると、いろいろ違いが見えた。
製品 | 食いつき | 剥がれ易さ | 備考 |
---|---|---|---|
中華スティック | ◎ | × | 食いつきは良い。剥がすのには一苦労 |
しわなしpit | ○ | ◎ | 剥がれやすく便利。底面が小さい場合は危険 |
消えいろピット | ◎ | × | 食いつき良い。中華スティックと同様 |
カラースティックのり | ○ | ○ | 剥がれやすく便利 |
しわなしpitと消えいろpitは両方共トンボの製品なのだが、使用感が違っていて面白い。 また色付きなのに剥がれの良いカラースティックのりはさすが3M。3M製品は剥がれやすさを追求しているのか?
入手性からすると、しわなしpitは近くの100均で売っているので便利。3Mのカラースティックのりは文房具屋に行く必要がある。 両方共100円と、コスト面では同一。使いやすさでは色がついているカラースティックのりのほうが便利そうなのだが、 乾くと消えるので、後で塗っている箇所はわからず、そんなに便利ではない。結局どっちでも一緒だ。
のりを塗っておくと、食いつきがよく色々安心で便利だが、唯一出来上がりの底面には糊がついているため、 手で触ると体温で溶けてベタベタになる。でも水溶性のりなので、水で洗ってやれば問題なし。 なのでちょっと完成後に一手間かかるのが面倒だが、フィラメントの食いつきに失敗して底面に隙間がたくさんできるよりはマシだろう。
しわなしpit最高!と使っていたら、問題発生。剥がれやすいのがメリットだったが、大きなものを印刷すると、 剥がれやすさが災いして、印刷中の剥がれが発生。印刷途中で倒れたり、ノズル側にくっついてしまったりと、 底面が小さめの造形物の場合には問題が起きがち。しわなしpitも万能ではないので、印刷物の形やサイズによって使い分けが必要だった。
マスキングテープ(カモ井加工紙)[☆☆☆☆☆]
マスキングテープがおかしな方向で流行っており、本来塗装時の余計なところを塗らないようにマスクするためのテープなのだが、 おしゃれ柄のテープが流行している。マスキングテープ大手のカモ井加工紙がmtブランド?でいろんなマステを出しているが、 本来のちゃんとしたマスキング用のマステもきちんと売っている(こっちが本業のはず)
文房具屋で売っているマステは明らかな女子向けマスキングテープなのだが、ホームセンターにあるものは、 塗装エリアは確実なマスキングテープだが、壁紙エリアは微妙な雰囲気。使い捨て目的のマスキングテープからすると、 数倍高い値段で、デコレーション用おしゃれマスキングテープがある。しかし素材は和紙で3Dプリンタ用途にも問題なさそう。

実際に使ってみると、NGだった。和紙とは言えオシャレにするために表面に何か塗ってある(印刷?)ようで、 つるつるしており、フィラメントの食いつきは最悪。 スティックのりなどのドーピングを加えないと、第1層はきちんと食いつかない。 ヒートベッドをオシャレにする意味はなく、フィラメントの食いつきも悪く、値段も高いとくれば、全く意味なし。 壁にでも貼っておこう。