フィラメントボックス
3Dプリンタの印刷材料となるフィラメントは湿気に弱い。そこでフィラメントの保管にはナカバヤシのドライボックス27Lを使用している。保存時はこの中に収納している。
実際、フィラメントによっても吸湿具合というかポキポキ折れるかどうかはいろいろ。PLAしか使っていないが、メーカーとか色とかで違うと思われる。
運がいいのか、あまりひどいのには巡り合っていないが、一つだけひどいのに当たり、やたらと折れまくった。3Dプリンタにセットした状態(なので外に丸出し)で数日放置すると、PTFEの中で5センチ間隔くらいで折れている。折れた部分を取り出して、印刷を行うと問題なく使用可能。なんだろ?吸湿関係ないのかな?
ところで、ネットを見るとやけにフィラメント用ドライボックスをたくさん見るようになった。フィラメントがデリケートになったのかわからないが、いろんな種類があり、値段が高いやつは発熱による乾燥機能が付いている。1ロール用でだいたい1万円近くするので、結構お高めなのだが、たくさん種類があるので売れているのだと思われる。

もう少しお手軽を見ると、タッパ的な小さな密閉ボックスでフィラメントが1ロール入れられるものがある。また、自作ブログも各種あった。イノマタ化学の6Lの乾物ストッカーがちょうどよいらしい。面白そうなので作ってみようかな。
自作も簡単そうで面白そうなのだが、出来上がり品(多少組み立てるようだが)もそれなりに安いのがあるので、完成品を購入してみた。

2~3日でお届けとなっていたが、購入するとお届け日は1週間後、その後10日後お届けに変化し、結局予定日には届かず予定の数日後に遅れて届き、結果購入日から15日後(半月)の到着となった。
まあ安いところで買うとこういった目に合うよね。Amazonの安い商品は半分金を捨てる気持ちで買わないと、やってられない。Amazonもトラブル発生の前提で返品とか返金手続きがすぐできるようになっていると思う。
商品到着
なんだかんだと、Amazonらしいトラブルはあったが、届いた商品はまともそうだったので、ひとまずはよいかも。以下のドライボックスセットが2箱。

ただの密閉箱にローラーなどの器具があるだけだと思ったら、ボックス自体がちゃんとドライボックス向けのもので、中にはローラー受けが4か所と湿度計置き場が準備されている。わざわざこのボックスを設計して作っていると考えると結構手間だな。たくさん売り上げが見込まれるものなのだろうか?

ボックス以外の付属品は以下。ゴムパッキンが2つで、穴あきと穴無し。ボックス自体にも装着済みなので、これら2つは予備品。そして樹脂(プラ?)製ベアリングが5個。1個は予備と思われる。回転の悪いベアリングが混入する前提なのだろう。そしてそれらをつなぐ手つのパイプと湿度計。湿度計には電池が入っておらず別途LR44のボタン電池が2つ必要。

バラで購入しても、箱が600円くらい、ベアリングが400円くらい、湿度計が300円くらいにその他もろもろと考えると、結構トントンな感じなので、ひと箱1500円あたりで購入できればコスパは良さそうだ。あくまでもこれがちゃんと使える前提だが。
さて、組み立ててみるが、組み立てといってもベアリングに心棒を通して、2セット箱の中にセットするだけ。非常に簡単。

鉄の心棒を手で回してみるとコロコロとよく回る。これなら十分そうだ。
比較
では、どれくらい軽快に動くかを、普段使っているスプールローラー(青)と比較してみる。

上に空(ちょっと残っているけど)のフィラメントスプールを入れて、手で回転させてみて、負荷具合を比較してみる。するとあれ?、なんだかボックス側は回転が重い気がする。
気になってしっかり比較してみるが、やけに重い。ベアリングも鉄のパイプも手で回すと簡単に回るので問題なさそうなのだが、スプールを乗せて比較すると回転が重い。
ベアリングが樹脂製なので、鉄製にすると違うかと思い、ちょうど同じサイズのメタルのベアリングがあったので交換してみたが、あまり変化はなかった。心棒が細いと回転しにくいのかな?なんとなく良いものが届いたと思っていたが思わぬところでブレーキ。スプールが回転しないわけではないけどちょっとイマイチだなぁ。
普段使いのローラー性能が良すぎるだけなのかもだが、性能が良いものを知ってしまうと、悪いやつは見劣りが激しい。何とかしたいところだ。
改善
青の自作ローラーはスムーズな回転をしてくれるので、このローラーを鉄のパイプ代わりに入れてやると、軽く回るのでは?と思い、ローラー交換を検討。この青いローラーそのままはベアリングサイズが違うのと横幅が箱に入らないので、サイズ変更が必要。
ということで、このボックス用にローラーを設計する。
また、このローラーは直径が大きいので、そのままの位置で設置しようとすると、スプールが上に上がってしまい、ボックスの蓋が閉まらなくなる。ローラー位置は横に広げてスプールが箱に収まる位置にする必要がある。
ローラー支え Ver.1
ということで、既存のベアリング置き場を支えにしてローラー保持アームを設計。
真ん中2つの車輪みたいなのが、既存のベアリング置き場に刺さる。そしてその外側のアームがローラー支えとなる。

これを2つ作って左右にセットすればよい。そしてローラーも再設計。といってもベアリングサイズは分かっているので、横幅を調整して作成。形状は単純なので問題なく作成。

ローラーはきれいな円とするため、立てて印刷出力。ただそうなると印刷時間が長い。まあ仕方ないのだが。
ローラー支え Ver.2(失敗)
その印刷中にひらめいたのが、左右にローラーを置く方式だが、センターにローラーを置いてもいいのではないか?
ということで、こちらの支えも作ってみる。これならローラー1つで真ん中で支えるのみ。ベアリングの消費も抑えて便利では。そしてこの形状は薄いので印刷時間は早め。サクッと2つ出力。

さて、実際に試してみると、うまくいったのだが、ダメだな。
ローラーとしての役目は果たしてくれて、きちんとスプールを回転させてくれる。しかしスプールのセットや交換が大変。
この支えやベアリング、ローラーなどは固定されていないので、手で固定しながら恐る恐る箱にセットする必要がある。結構気を使う作業で面倒なのだが、これをフィラメント交換毎に実施はちょっと嫌になりそう。
それに比べ、2ローラー方式はスプールを上から置くだけととても簡単。回転だけならどっちでもよいが、運用を考えるとセンターローラー方式は無いな。
Ver.1に戻る
結局Ver.1が良かったということになり、こちらで作成を進める。
ちなみにVer.1と言っているが、2ローラー方式の再集計には何度か調整を行っている。
右上のものは、一チェックのためのテスト印刷で、既存のベアリング置き場にきちんとハマるかチェック用。そして右下の2つ(v4)が完成品。長さが180mm弱あり、うちのプリンタはMax150mmなのだが斜めに配置すれば何とか印刷できた。結構反ってしまうのだが、まあしょうがない。

ボックスに入れた状態(右)実際これで回転させてみるとかなり軽く回る。理屈は分からないけど、ローラーは大きいほうが回りやすいのかな?ベアリングは同封の樹脂製を使用。金属製にしてもあまり変わりなかったので安いほうを使っておく。

スプールを入れて、きちんと蓋も締まるので、問題なし。完成だ。
設置
回転抵抗に引っ掛かって、改善に労力を費やしてしまったが、本来はフィラメントの吸湿を防ぎつつ印刷に使用するためのもの。ローラー作成がゴールではないのだ。
ということで、現在使用中のフィラメントをボックスに引っ越しする。
PTFEチューブ
5cm程度のPTFEチューブが付属しており、穴あきのゴムパッキンと合わせて外部接続用に使用する様子。ただしうちのプリンターはフィラメントからエクストルーダへのPTFEチューブは6mmサイズ。付属のPTFEは4mmサイズ。内径は2mmで共通だけど外径が違う。
ボックスとプリンターをどのようにつなごうかと考え、変換コネクタを作ってつなぐこととした。
外径4mmのチューブが刺さる穴と、継手を差し込む穴を用意した。

これを使ってチューブの変換と取り換えを容易にする。

これで、プリンター本体との外径6mmPTFEチューブでの接続が可能となった。

湿度計
ボックスには湿度計が付属しているが、電池は内蔵されていないので別途用意する必要がある。LR44のボタン電池だ。ちょうどLR44の電池がストックにあったのでこれを使用する。

電池を入れると、湿度表示がされた。これで現在の湿度状態がわかるようになった。大き目の表示が助かる。

乾燥剤
乾燥剤としてシリカゲルを入れておく。シリカゲルは1kgのものを購入したので、小分けに入れるものが必要。シリカゲルケースをCADで作成しておくのがよさそうだが、まずはお茶っ葉ポンの茶葉入れで暫定対応。2袋ほど用意。

これをボックス内のスプールが当たらない場所に配置。といってもずれて動きそうだな。まあ暫定対応ということで。

完成
これで、フィラメントをボックスに入れて、PTFEチューブを通して外につながるようにすれば完成だ。ふたを閉めてバックルを留めればしっかりと密閉される。

乾燥ボックスでの供給
ボックスに入れたフィラメントが準備できたら、プリンタの裏にあるフィラメント供給場所でPTFEチューブを既存のガイドから、乾燥ボックスに接続切り替えする。

そしてエクストルーダに差し込んでセットすれば完成だ。
ぼっくすぉ閉じた後、1時間後ぐらいに表示を見てみると、55%⇒44%に下がっていた。それなりに効果は出ている様子だ。

その後、2日経過してふと湿度計を見てみると、10%!にまでさがっていた。40%の見間違いかと思ったが、確かに10%だ。ものすごく乾燥できている。乾燥ボックス凄いな。

