ウインカーのLED化検討
TMAX530のウインカーは電球となっている。フロント側もリア側もだ。 唯一ブレーキランプはLEDなので、なんとかウインカーをLED化してみたい。
TMAX530のウインカーはオレンジの電球で点灯している。電球自体がオレンジ色なので、 ウインカーのバルブが外から見えてオレンジ色が見える。

これを銀色のバルブにして点灯時のみオレンジにするのは定番のカスタム。それでもいいのだが、出来ればLEDにしたい。
また、前のTMAXではあったポジション点灯がTMAX530からはなくなった。フロント中央にポジションランプが移ったためと思われるが、これはいただけない。 出来ればポジション点灯もさせたいところ。
LED化をするにあたり、自作を行いたいが、最近は高輝度LEDを高密度実装したものがいろいろと市販されているので、完成品を購入することにする。

ウインカー部分の外装が取り外し出来るなら 専用の型をとって自作で高密度実装したいが、かなり派手な手術になり、元に戻せなくなりそうなので、それはあきらめてバルブソケットからの対応を行う。
TMAX530のウインカーバルブを調べてみると、口金はBAU15Sというやつ。ピンが150度でついており、接点もプラスとマイナスの二つしかなく、点灯と消灯のみ。

ポジション点灯にはもうひとつ接点が必要になるが対応はしていない。ポジション点灯のためには、このあたりも検討が必要。なかなかのハードルが用意されている。
LEDウインカー購入
ということで購入したLEDウインカー。ソケット付属でポジション点灯可能なものがあったので購入。 LEDも2色LEDでオレンジと白が点灯可能。これでウインカーソケットごと交換してやり、ポジション化も 一緒にやってみたい。

まずは購入したLEDウインカーのチェック。ポジション自動キャンセル機能付きということで、ポジション点灯中にウインカー側が通電されるとポジション側は消灯するようだ。
1秒程度消灯が保持されるようで、ウインカー点滅の消灯時にポジションがついてしまうことはないようだ。その分ポジション復帰のレスポンスは少し遅れてしまう。
試験用の12Vとして予備バッテリーで点灯試験を行うが、気になっていた明るさは、ポジションの白はかなりまぶしく直視できない。
ウインカーのオレンジはちょっと微妙かも。オレンジ色自体がまぶしく感じにくいので、あとは電球の明るさと比較してみたい。
ちなみに購入したセットは写真のような内容。

LEDバルブに口金セット。ポジション用に1本ラインが飛び出している。ポジション配線用にエレクトロタップ(赤いヤツ)があるがこれは使用しない予定。
既存のウインカーコネクタにこのこの口金をさして、 別途ポジションラインを引いてウインカーのポジション化を行うというもの。
さて問題はこのソケット部分。TMAX530のものと比較をしてみると案の定、形状に差がある。案外そのままいけるのではと、TMAX530に差し込んでみるがやはりどこかぶつかりウインカーソケットには入らなかった。

写真に撮って比較をしてみるとどうも一箇所大きなツメがありそこがぶつかる様子。写真の緑の線がTMAX530純正ソケット。 写真のソケットと赤い線が今回の追加ソケット。
なんとなく下側の大きなツメを小さくすれば行けそうな気がする。
ということで、問題箇所がわかったのでルーターで削り取る。純正品を壊すわけではないのでぐいぐいと遠慮なくカット。

細かい部分でなかなかカットが難しいが、たくさんではないので、ちまちまと削ってみる。関係ない部分を多少傷つけながらも、どうせ見えない部分なので、大胆に作業を進める。大体いいんじゃないかな。
加工したソケットを実車に取り付けてもみると、干渉箇所がなくなり、うまく取り付けできた。よかった。
ウインカーポジションの遅延回路設計
ウインカーポジションを行うにあたり、ウインカー点滅中はポジションの点灯はして欲しくない。 保安基準上もウインカー点滅中のポジション点灯はグレーなので何とか消灯をさせたい。
購入したLEDウインカーはポジション点灯機能もあり、さらに両入力時にはウインカーのみ点灯するといったポジションキャンセル機能が内蔵されている。
しかし片方のバルブ単体での動作であるため、逆側のウインカー作動中は残り側はポジション点灯中になってしまう。やはりウインカー作動中はポジション点灯を両方キャンセルさせたい。
ウインカースイッチがオンになったらポジションを消灯させるだけではあるが、どうやって実現させよう?

遅延スイッチ回路はライドコム用電源作成時に作ることが出来たので、なんとなく出来そう。通常は通電させて、ウインカー信号が来たら即時切断して、ウインカー信号が切れたら遅延して通電させればよさそうだ。
この遅延通電がミソで、ウインカーは点滅するので、信号が切れても次の点灯の信号が来るかもしれない。なのでウインカー点滅時間より長めに遅延させて、信号が来なければポジションオンとする。
ポジション点灯のタイムラグは出てしまうが、このあたりはあきらめるしかないだろう。

ウインカーの点滅は1分間に60~120回が目安らしいので、遅延時間は0.5秒以上あればよいはず。1秒ぐらいの遅延なら違和感は少ないのでそれくらいの遅延スイッチを作ってみよう。
本当ならCR遅延回路で抵抗とコンデンサの値を計算で算出するんだろうけどよくわからないので、実験で試しながら探ってみる。
難しい計算は無理。遅延回路については、前回作成の回路を参考にFETによるメインスイッチと、制御用のトランジスタを使う。

FETの基本回路はこれ。電源側にFETを持ってくるのでPch型FETを使用する。スイッチが切の状態でFETが導通するので、ポジション点灯のためには通常スイッチは開放状態にして、ウインカー信号発生時はスイッチオンにすればよい。

トランジスタ側基本回路はこれ。入力に対して逆転した出力が発生する。電圧が来れば出力はオフ。入力がなくなると出力はオンとなる。
今回の入力としては通常オフでそのとき必要な出力はオフなので、 2回反転させる必要があるかな。

トランジスタの遅延回路はこれになる。スイッチを入れるとトランジスタへの入力がオンになると同時に、追加されたコンデンサにも電気が溜まる。
スイッチをオフにすると、当面はコンデンサの電気が出力されて、スイッチがオンのような状態が持続される。
しかしコンデンサの電気には限りがあるので、電気をすべて吐き出すとトランジスタへの入力がオフになる。
このような動きをするので、コンデンサの容量と抵抗の関係で遅延時間が決まるのだが、計算式不明。まあ何とかなるだろ。

これらを組み合わせ作ってみた回路がこれ。使用する抵抗は、小さな1/6Wの10kΩが手持ちにあるので、これにしてみた。
コンデンサは手持ちのものでいろいろと試してみる。場合によっては抵抗も変更する必要が出てくるかもしれない。そもそもこの回路できちんと動作するのかも怪しいので、実験はいろいろとやってみようと思う。
しかしこうやって先に回路図を作ってみるようになるとは、成長したものだ。回路図残っていると後であの時何したかがわかるのでとても便利。やっぱり設計書って大事よね。

予定の回路図が出来たので、部品を調達。抵抗については手持ちにある小さな抵抗を使用する。10kΩと信号用にはいろいろ使いまわせるもの。ちゃんと計算をしないけどまあ大体大丈夫なんじゃないかな? 過電流になれば壊れてくれるだろうし。。。

使用するFETはPchのIRFU5505PBFというもの。前回ライドコム電源の遅延回路用に使用したものと同じ。低格は55V18AとポジションLEDに使用するには余裕なはず。秋月で一個70円。なかなか便利に使用できる。

トランジスタはC1815を使用。NPNなトランジスタとしては定番っぽい。何がいいかはわからないまま入手しやすいので持っている。
スイッチング速度とか高周波用途かいろんなスペックがあるが、ただのスイッチ用途で、たいした使い方ではないのでどうでもよい。電気を通したり通さなかったりといった半導体の動きをしてくれればいいのだ。
ということで、手持ちにあるランクの違う2個を気にせずにチョイス。 YランクよりGRランクのほうが上なのかな?

ダイオードを2本使用。ウインカーの入力用。直結すると、片方のウインカー電流がもう片方に流れて 常に両方のウインカーが点滅といったことになりそうな気がする(試したわけではないが)ので、ダイオードを挟んでおく。
予定外の電気の回り込みというのはわりと起きがちなので、なるべく注意をしておく。たいていは入力系統に注意を払っておけば大丈夫かと思われる。

部品をそろえて、まずは実験開始。回路図どおりブレッドボードで回路を組む。使用するコンデンサはまずは1000uFがあったのでこれを使ってみる。
前回ライドコム遅延回路で1分くらいの遅延用に使ったので、大きすぎると思われるが基準時間を計るために使ってみる。回路自体は問題なく完成して、実際に動作をさせてみると、30秒後にLEDが再点灯。遅延時間としてはかなり長い。 コンデンサの容量を1/10くらい落としてみよう。

100uFのコンデンサは持ってなかったので、47uFを並列につないで94uFとしてみた。この状態で実験してみると、時間は6秒に減った。いい調子である。
1/10ではなく1/5になったが、理屈は不明。あまりそんなことは気にせず、実験結果を正解とする。理屈はどうでも結果がうまくいけばいいのだ。ちなみに電圧計はコンデンサの両端電圧を測っている。
ウインカー想定の通電開始で電源電圧まで上がる。 ただし作業用バッテリーが弱っており、10V弱にしかならなかった。
ウインカー想定を遮断すると電圧が徐々に下がっていき0.6Vあたりに落ち込むとFETが通電してポジション想定のLEDが点灯する。 今回の6秒もわりと長いのでさらに半分の47uFにしてみよう。

47uFのコンデンサで実験してみたところ3秒と、いい遅延時間となった。このときなぜか、2秒を目標値にしていたので、3秒はOKと判断していた。
1分間に60回点滅(1Hz)のとき、 1周期は1秒で、点滅なので倍の2秒あればよいと思っていたが、実際には半分の0.5秒と考える必要があった。なので3秒はかなり長い遅延時間なのだが、このあとの余計な追加で結果的にはうまくいくのでよかった。

実験の結果、コンデンサは47uFに決定。耐圧も35Vと余裕のスペック。コンデンサは手持ちがいろいろあるわけではないので、かなり妥協が必要なのだが、まあまあいいものが見つかってよかった。
しかも結果的に小さめの部品となったので、組み立て時にも余計なスペースを食わずに済みそうだ。 どうしてもコンデンサはほかの部品に比べて大きく邪魔になるので、小さいに越したことはない。

それと入出力ラインに使用する電線。話はそれるが、最近パソコンが故障して突然起動しなくなり、どうやら電源が壊れた様子。電源を交換したら問題なく立ち上がったので、原因はビンゴだったようだが、なぜ壊れたかは不明。
分解してみたが、コンデンサ破裂などは見つからなかった。分解後廃棄とするのだが電源ケーブルのみ回収しておき、 今回一部使用する。そこそこ太目のケーブルで、程よい長さもあるためいろいろと使い回しが出来そうだ。 そこそこの色もそろっているので、使い分けが出来そうだ。

ウインカーポジションの遅延回路作成
ウインカー中のポジション消灯のための遅延回路を作成する。
使用する部品がそろったので配置を検討する。 配置も回路図エディタを使用しておおまかな位置決めをする。
はんだ付けするときの難易度も考慮しながら、結合できるところは密集させ、絶縁部分は離れさせるように部品を配置。なるべく密集をさせた。完成したのが図の上側の配置図。下側はこの後追加したもの。

配置も決まったので、早速組み立て開始。小さく背の低い抵抗から配置に従い取付け開始。GNDラインをどうするか考えながら、部品を取付けていく。
コンデンサは一番大きいので最後に回し、抵抗、ダイオード、トランジスタ、FETと取り付けしていく。最後にコンデンサを取付けたら完成なのだが、ここで余計なひらめきが。
状態チェックのためにLEDを取付けておくことにした。 ウインカーの入力有無とポジションの出力有無用の2つである。1kΩの抵抗と一緒にちょこちょこと追加をして完成。

配線が出来たので、完成チェック。実験用バッテリーは充電してフルの状態になっている。ウインカーポジションも実際のものを使用してみる。そして電源を接続して実験開始。
電源をつなぐとまずはポジションが点灯。ちなみにポジションLEDは右側の明るいもの。まぶしいので紙を乗せていてわかりにくい。
そしてウインカー相当の入力を入れて、そのあと入力を切ったらストップウォッチ開始。ポジション再点灯したらストップウォッチ停止。 かかった遅延時間は1.9秒。あれ、なんか早くなってる。

時間の変わった原因は電源(バッテリー)電圧の変化もあるが、LED追加が原因と思われる。ここに新たな電力消費場所が出来たのでコンデンサの放電時間が早まったようだ。
失敗だったと思いきやよく考えると、1秒ちょい程度が最適時間であり、3秒は実は長すぎていたのだ。
いろんな勘違いと早く確定させたい気持ちで、3秒がOKとしていたが、実は間違いであった。しかしLED追加の余計な作業が結果オーライでうまくいったようだ。
とりあえずこれで完成とし、バイク取付けように電線の取り付けを行う。ポジション出力は両側あるので2本を用意しておいた。 ちなみに黒:GND、赤:ポジション入力(兼電源)、橙:ウインカー入力、黄色:ポジション出力となる。

回路はこれで完成だが、もう少し処置を施しておく。 防水?のためのメルターコーティングだ。
回路が見えなくなったり追加改造ができなくなるが、これ以上は触らないと思うので、メルターで固めてしまう。どれだけの効果があるのか、もしかすると部品には悪かったりするのか不明だが、いいと信じてコーティング開始。
たまに電子機器でもケーブルの暴れ防止用にメルター止めを見たことあるので、わりと大丈夫なんじゃないかな。表面と裏面をすべてコーティングして、はんだや鉄成分は見えなくしてしまう。

完成した遅延回路。メルターで固まっていて、回路の詳細はまったく見えない。セキュリティ?も万全。
そういえばコンデンサの足には塗ってなかった。 あと電線の先はまだ裸線なので、バイクに配置して程よい長さに電線をカットしてぎぼし装着予定。
